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「先生、よくわからなかったんですけど」
「先生、よくわからなかったんですけど」。治療の説明をした後に、患者さんからこう言われたことはないでしょうか。先生に直接言う患者さんは少ないかもしれませんが、受付で言われることは実は多かったりします。
また、説明したつもりなのに後日「聞いていない」と言われた経験。これは院内あるあるとして、よく耳にする話です。
これらは伝える内容が悪いのではなく、伝え方に問題があることがほとんどです。口頭での説明はその場では理解してもらえても、帰宅後に忘れてしまうことがあります。だからこそ、紙の説明文書が重要です。
今では説明文書を紙でお渡ししている医院は非常に多いかと思いますが、その文書を一から作るのは実は大変だったりしますよね。
ここに、AIの力を借りることができます。
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AIが最も得意な仕事の一つ
専門用語を、一般の方にわかる言葉に書き換える。これはAIが最も得意とする仕事の一つです。
歯科医師の先生方は、毎日専門用語を使っています。根管治療、補綴、ペリオ、テンポラリー。先生方にとっては日常語ですが、患者さんにとってはまったくの外国語です。
AIに「根管治療について、患者さんにわかりやすく説明する文書を作成してください。専門用語は使わず、中学生でも理解できる言葉で書いてください」と指示します。すると、専門用語を一切使わない説明文が出てきます。
実際に出力された文書の一部を紹介します。
みなさんの歯は、外側から硬い層で覆われていて、その一番奥に「神経」があります。虫歯がどんどん進むと、細菌が歯の奥まで入ってきて、神経に炎症を起こします。この治療は、傷んだ神経を取り出して、歯の奥をきれいにして、すき間を埋めるという流れで進みます。
もちろんそのまま使えるかどうかは先生の判断です。しかし、たたき台として十分使えるものが一瞬で手に入る。これだけでも、文書作成のハードルは大きく下がります。
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伝わる説明文書の、4つの構造
AIに指示する前に、知っておいてほしいことがあります。伝わる説明文書には、伝わる理由があるということです。
効果的な説明文書は、4つの要素で成り立っています。
一つ目は、何のための治療か。患者さんが最初に知りたいのは、「これは自分にとって何のためにやるのか」です。
二つ目は、どんなことをするのか。治療の流れを、ステップごとに簡潔に説明します。
三つ目は、どのくらいの時間がかかるのか。通院回数と、1回あたりの所要時間です。
四つ目は、注意すべきこと。治療後の過ごし方、痛みが出た場合の対処などです。
この4要素をAIに指定して文書にしてもらうと、患者さんが知りたい情報がもれなく含まれた文書が出てくる。構造を知った上でAIに頼むことで、出力の質が変わる。
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指示文のテンプレート
AIへの指示文は、具体的であるほど質の高い出力が返ってきます。
私が実際に使っている指示文の構造を共有します。
「以下の治療について、患者さん向けの説明文書を作成してください。治療名:○○○。対象の患者さん:(年代・状況を簡単に)。文書に含めてほしい内容:1. この治療の目的(なぜ必要か)、2. 治療の流れ(ステップごとに)、3. 所要時間と通院回数の目安、4. 治療後の注意事項、5. 費用の目安(保険適用の有無を含む)。条件:専門用語は使わない、中学生でも理解できる平易な日本語で、500字以内、です・ます調」
この指示文をテンプレートとして保存しておけば、治療名と対象を変えるだけで、さまざまな治療の説明文書が作れます。
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説明文書のストックを作る
おすすめしたいのは、よく使う治療の説明文書をまとめて作り、ストックしておくことです。
根管治療、補綴、ホワイトニング、歯周治療、矯正相談。頻度の高い治療を10種類ほどピックアップし、それぞれの説明文書をAIで作る。所要時間は、全部合わせても1〜2時間程度でしょう。
一度作ったら、必要に応じて調整してプリントアウトすればいい。毎回ゼロから作る必要はなくなります。
そして、その説明文書を使いながら、定期的にスタッフからの意見を吸い上げ、ブラッシュアップしていく。そうすることで、医院で行われる患者説明のノウハウが蓄積されていきます。
説明文書があると、患者さんの理解度が上がります。理解度が上がると、治療への同意がスムーズになります。同意がスムーズになると、先生の診療時間が効率化されます。
AIで文書作成を効率化し、先生が患者さんとの対話に集中できる環境を作る。説明文書の整備は、そのための具体的な一歩です。
財津 昇
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