事業者でもある、歯科医師

03 経営者の視座

01
事業者である、ということ

歯科医師の先生は、医療人です。患者さんの口腔の健康を守るために、専門的な技術と知識を磨き続けている。そのこと自体に、私は深い敬意を持っています。

しかし、開業されている先生は、医療人であると同時に、事業者です。

スタッフの給料を支払い、医院の家賃を払い、材料費を管理し、設備投資を判断し、採用を行い、ブランディングを考え、集患の仕組みを設計する。これらは、治療の技術とは、まったく別の能力が求められる仕事です。

私も、経営者としてはまだ日が浅い身ですが、同じことが言えます。セミナーのディレクターであり、マーケターであり、デザイナーであり、プロデューサーであり——そして、事業者です。

事業者としての足場があってこそ、先生方に、説得力のある、納得感のあるセミナーをお届けできる。事業が安定して、はじめて、そのことに集中できる環境が整う。私はそう考えています。

02
事業者の視点を持つと、何が変わるか

少し、私自身の話をします。

「事業に専念したい」。これは、毎日、最低でも一度は私の頭をめぐる言葉です。

もっといいセミナーを届けるには。多くの人が求めているセミナーとは。どうすれば受講者にもっと喜んでもらえるのか。どうすれば受講者が成功に近づくのか。どうすれば、みんながハッピーになれるのか。

こうしたことに集中するには、集中できる環境を、自分で作る必要があります。パートナーが安定して働いてくれること。セミナーが継続的に評価されること。資金繰りに不安がないこと。これらはすべて、事業者としての仕事です。

この視点を持つと、サラリーマンとして働いていた頃とは、判断基準がまるで変わります。使えるお金が増えれば、より多くの人にセミナーを届けられるし、講師の先生にお願いできる仕事の幅も広がる。逆に、使えるお金がなければ、その両方が狭まってしまう。

事業を営むとは、瞬間的に売上を上げればいい、という話ではありません。永続的に、継続的に、支持され、事業とお金が回っていく仕組みを設計していく。

KEY INSIGHT

医療人と事業者。両方の視点があることで、課題解決の幅は広がっていく。

03
経営を考える時間が、ない

「経営のことを考える時間がない」。

私も、ついこの言葉が頭をよぎることがあります。そして、同じ状況の先生が、歯科業界にもたくさんいらっしゃると感じています。

診療時間中はチェアサイドに貼りつき、診療後は疲弊し、休日は学会やセミナーに参加する。腰を据えて経営についてじっくり考える時間は、意識的に作らない限り、絶対に生まれません。

今は、AIがあります。

時間さえ取れれば、経営数値の整理、市場調査、競合分析、文章作成——こうした「考える前の準備作業」をAIに任せることで、先生は「考える」という本質的な作業に集中できるようになります。

AIが数字を整理してくれる。AIが情報を集めてくれる。先生は、その情報をもとに判断する。この判断の部分に集中すること。それが、時間がない先生を助ける、一つの方法なのかもしれません。

04
孤独な、経営者としての歯科医師

事業者としての先生方には、もう一つ、特徴があると感じています。

孤独を感じている先生が、多いことです。

勤務医であれば、先輩や同僚に相談できます。しかし、開業医の院長は、経営判断について相談できる相手が限られています。スタッフに経営の悩みを話すわけにはいかない。家族に話しても、業界の文脈がわからない。

コンサルタントに依頼する方法もあります。ですが、コストがかかるし、必ずしもいいコンサルタントに出会えるとは限りません。

SNSでバリバリ情報を発信し、キャラクターを立て、表に立てる先生なら、同じ業界の先生方と交流を持つ機会も多いでしょう。しかし、8割以上の先生は、そうではありません。むしろ、そちらが普通です。

正直に言えば、私自身、もともとこうして情報を発信したり、SNSで顔を出したり、自分を売り込むようなことは、本当はしたくないほうです。どちらかと言えば、陰キャです。

ただ、私の場合は、陰キャのままでいると、講師となってくださる、まだ出会わぬ素敵な先生との出会いが生まれません。先生方により良いセミナーを届けるためにも、たくさんの先生からノウハウを学びたい。それは、私の仕事の一部でもあります。だから、腹をくくりました。

でも、歯科医師の先生は、必ずしもそうではありませんよね。

交通の便も整っていない地方で診療されている先生も、多くいらっしゃいます。そんな先生にこそ、都市部の先生や、積極的に発信している先生とつながるきっかけを、生み出したい。

私がTHE DENTIST+のサービスで、伴走者という立ち位置を大切にしているのは、この理由からです。コンサルタントほど踏み込まない。けれど、機会を多く提供したい。そういう思いです。

歯科医院の経営や診療そのものについては、歯科医師の先生から聞きたい、というのが正直なところでしょう。そこは、私の領分ではありません。けれど、経営者として共感できるところは、多いと思っています。横に並んで並走すること。事業者としての課題や悩みに、同じ目線で寄り添うこと。それは、私にできることだと考えています。

医療人と事業者、両方の役割を背負いながら医院を運営している先生方に、一人で背負わなくていい、と感じていただきたい。そして、「この人から、もっといろんなことを教わりたい」「ついていきたい」。そんな出会いを生み出すことが、THE DENTIST+のサービスを通じて私が達成したいことの一つです。

この思いが、このブログから伝わることを願っています。


財津 昇
歯科医院の経営を、一歩先へ。
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