「誰から学ぶか」が、学ぶ内容と同じくらい重要な時代

02 セミナー・学び

01
同じ講義でも、誰から言われるかで変わる

私はAIをフル活用しながら、教育事業を運営しています。近年、「AIに仕事を奪われる」という話題を、よく耳にするようになりました。

正直に言えば、この手の話は、どの時代にもありました。新しい技術が、人の仕事を脅かす。そのせめぎ合いの中で、新しいサービスや事業が生まれてくる。私はそう捉えています。

そんな中、歯科医師の先生方とお話ししていると、こんな言葉を耳にします。

「あの先生の講義は、直接聞くと、腑に落ち方が違うよね」

私は、これがセミナー事業の本質に触れる言葉だと感じています。

情報なら、探せば見つかります。しかし、同じ知識でも、誰から聞くかによって、届き方がまるで変わる。これは感覚の話ではありません。人の心理の、本質に近い部分の話だと考えています。

02
情報の希少性が、消えた

かつて、専門的な知識を得るには、特定の場所へ行き、特定の人から教わる必要がありました。知識そのものに、希少価値があった時代です。

今は、違います。

検索すれば、ほとんどの知識にアクセスできます。AIに聞けば、教科書的な回答は瞬時に返ってくる。YouTubeにも、無数の講義動画が並んでいます。

もちろん、臨床のあまりに専門性の高い領域、論文のさらにその先にある深い部分は、検索では触れられません。ですが、一般論のほとんどは、すでにネット上に公開されている。知識の希少性は、もう失われた。私はそう捉えています。

では、私が提供しているオンラインセミナーや、こうした教育サービスに、参加する意味はなくなったのでしょうか。

私は、むしろ逆だと考えています。

情報があふれているからこそ、「誰から学ぶか」に、真の価値が問われている。

03
講師の属人性という価値

私が日頃からよく口にしているのは、AIの時代は、人の時代だ、ということです。

THE DENTIST+には、これまで21名の講師の先生方がご登壇くださいました。

先生方は、それぞれ数年、数十年にわたって、臨床の現場で培った知識と技術をお持ちです。その知識は、教科書に書かれた一般論とは、質が違います。成功も失敗も含めて、自分の手で経験したからこそ語れる、言葉の重みがある。

この重みが、私にとっては非常に重要です。重みが、人を動かす。勇気づける。背中を押す。私はそう信じています。

正解をテキストで読み取るのは、簡単です。しかし、この重みばかりは、AIにも生成できません。人が語り、人が受け取るからこそ成立する価値です。

KEY INSIGHT

AIが「人でなくてもできること」を担うほど、人にしかできないこと——属人性——の価値が高まる。これは、私がAIと向き合う中で確信している考え方です。

04
講師は、コンテンツの提供者ではない

THE DENTIST+において、講師の先生方は、コンテンツの提供者ではありません。共創のパートナーです。

これは、お打ち合わせを始める前に、必ず講師の先生とお話しする、重要なポイントです。この違いは、私にとって非常に大きい。

コンテンツの提供者と捉えると、セミナーは「コンテンツを消費する場」になります。受講者は消費者になり、講師は供給者になる。この関係では、「次は、もっと新しいコンテンツを」という欲求が、際限なく続いていきます。

一方、共創のパートナーと捉えると、セミナーは「価値を一緒に作る場」になります。講師が知識を提供し、受講者がそれを自分の現場に実装し、その結果をフィードバックする。この循環が回り始めると、セミナーの価値は、参加するたびに上がっていきます。

ですから、THE DENTIST+は、申し込んでもらって万歳では終わりません。何人集まったからOK、でもないのです。

私たちが約束していることがあります。講師のノウハウを、集客の道具にしないこと。無料セミナーで、価値を切り崩さないこと。講師のブランディングに貢献する設計をすること。これらはすべて、講師の先生方の属人性を守り、高めるための設計です。

05
「誰から学ぶか」を選ぶ、3つの基準

では、先生方がセミナーを選ぶとき、何を基準にすればいいのか。私が思うに、重要なのは3つです。

一つ目は、講師が、実際にやっているかどうか。理論だけを語る人と、自分で実践している人とでは、言葉の密度が違います。

二つ目は、自分の課題に近い経験を持っているかどうか。規模の大きな医院の講師が語る方法が、小規模な医院にそのまま当てはまるとは限りません。

三つ目は、人としての相性。学びは、長い関係です。この人から学び続けたいと思える相性は、意外と重要な要素です。

何を学ぶかと同じくらい、誰から学ぶかを、大切にしてほしい。これは、これまでご登壇いただいたすべての講師と仕事をしてきた、私の実感です。


財津 昇
歯科医院の経営を、一歩先へ。
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